リーフタンクの水質パラメータ: 目標値の一覧と、どの数字から直すか
ひととおり測り終えたところ、3つの数字が外れていました。アルカリニティは6.4 dKH、比重は1.023、硝酸塩は35 ppm。そして開いているタブはどれも違う目標値を挙げています。ひとつは天然海水の値。ひとつはサンゴ養殖場の運用値。ひとつはリン酸塩はゼロであるべきだと言っています。
短くまとめます。経験者のほぼ全員が同意する狭い目標範囲の組み合わせが存在し、それが下の表です。表が決して教えてくれないのは、複数が外れたときに直す順番で、その順番は正確な数値よりも重要です。間違えると、自分の補正を追いかけ回して1か月を費やすことになります。
リーフタンクの水質パラメータ一覧表
許容範囲とは、サンゴがまだ問題なく過ごせて、今日動く必要はない範囲です。最後の列が、どれくらいの頻度で測り、どれくらい速く反応しなければならないかを決めます。
| 項目 | 目標値 | 許容範囲 | 動く速さ |
|---|---|---|---|
| 水温 | 25から26°C (77から79°F) | 24から28°C (75から82°F) | 時間単位。ヒーターの故障で1日に5°F (約2.8°C) 動くこともある |
| 塩分濃度 | 35 ppt (比重1.026) | 33から36 ppt (比重1.024から1.027) | 日単位。蒸発でじわじわ上がり、足し水の失敗で跳ぶ |
| pH | 8.1から8.3 | 7.8から8.5 | 照明に合わせて1日に0.15から0.4振れる。傾向だけを見る |
| アルカリニティ | 8から9 dKH | 7から11 dKH | 毎日。ミックスリーフで1日0.3から1.0 dKH、SPS主体なら1から2 |
| カルシウム | 400から450 ppm | 380から480 ppm | 週単位。アルカリニティ1 dKHの消費につき約7 ppm |
| マグネシウム | 1280から1350 ppm | 1250から1400 ppm | 月単位。週に10から20 ppm |
| 硝酸塩 | 2から10 ppm | 1から20 ppm | 週単位。給餌で溜まり、排出で下がる |
| リン酸塩 | 0.03から0.10 ppm | 0.02から0.20 ppm | 週単位。岩と砂が蓄えて、また戻す |
| アンモニア | 0 | 総アンモニア0.1 ppm未満 | 時間単位。立ち上げ直後の水槽と生体の死亡時だけ |
| 亜硝酸 | 0 | 出来上がった水槽で微量出ても緊急事態ではない | 日単位。立ち上げ中だけ |
| ORP | 300から400 mV | 目標値なし。傾向だけを見る | 分単位。給餌後や生体の死亡で下がる |
各行が実際に意味すること
水温。 数値そのものより安定が大事です。一年中25.5°C (78°F) に保つほうが、冬は25°C (77°F) で8月は28°C (82°F) よりも優れています。上限が気になるなら、リーフタンクの適正水温 (82°Fは高すぎるのか)で詳しく扱っています。
塩分濃度。 天然海水は35 pptで、25°Cでの比重にすると1.026です。1.025と1.026のどちらで運用するかは、ほぼ一貫性の問題です。それより重要なのは、測定器が正直かどうかです。35 pptの校正液ではなくRO水で校正した屈折計は0.001から0.002ずれて読むことがあり、スイングアーム式の比重計はもっとひどいです。選択肢は信頼できる塩分濃度計はどれかで扱っています。
pH。 1日の振れ幅が範囲の大半より大きいので、1回の測定値はほとんど何も教えてくれません。毎回同じ時刻に測ってください。アルカリニティが正常なのにpHが低いのは、水槽の化学の問題ではなく部屋のCO2の問題です。これはpHとアルカリニティの違いで説明しています。夕方のピークでも7.9を下回るなら、リーフタンクのpHの上げ方に本当に効く対処法があります。バッファー剤はその中に入っていません。
アルカリニティ。 毎日動き、動きすぎたときにもっとも速くサンゴを傷める項目です。天然海水は約7 dKHで、8から9にしておけば添加し忘れに対する余裕ができます。9を超えても栄養塩が釣り合っていれば問題ありませんが、栄養塩が非常に低い水槽では危険で、11 dKHにリン酸塩ほぼゼロという組み合わせは、SPSの先端が焼ける典型的なレシピです。上げるのは1日1 dKHまでにしてください。製品と計算はリーフタンクのアルカリニティの上げ方で扱っています。知っておくべき数字は1日の消費量です。測り方は1日あたりのアルカリニティ消費量を計算する方法にあり、アルカリニティ消費量計算ツールを使えば2つの測定値から1日あたりの数字が出せます。
カルシウムとマグネシウム。 動きが遅く、急性の問題を起こすことはめったにありませんが、アルカリニティがきちんと振る舞うための条件を作ります。マグネシウムが低いとカルシウムと炭酸塩が一緒に析出するので、いくら添加してもアルカリニティが保てなくなります。カルシウムが高いのは、それ自体が問題というより、ほぼ例外なく添加のバランスが崩れているためです。これはリーフタンクのカルシウムの下げ方で扱っています。
硝酸塩とリン酸塩。 ゼロは目標ではありません。サンゴは両方を必要としていて、検出できない水準に保たれると色と組織を失います。硝酸塩20 ppm、リン酸塩0.2 ppmを超えると成長が鈍ってコケが足がかりを得ます。たいてい最初の症状は緑の糸状コケです。硝酸塩は薬剤ではなく排出で下がります。試す順番はリーフタンクの硝酸塩の下げ方にあります。炭素源を添加するなら、推奨量の何分の一かから始めて数週間かけて増やしてください。栄養塩の多い水槽に規定量を入れると、一晩で酸素を奪うバクテリアブルームを引き起こすことがあります。リン酸塩用の塩化ランタンは必ずフィルターソックかリアクターを通し、本水槽に直接入れてはいけません。沈殿物が魚のエラに詰まるからです。
アンモニアと亜硝酸。 出来上がった水槽ではゼロで、測る価値があるのは生体が死んだときや、フィルターを張り切って掃除しすぎたあとだけです。立ち上げ中はこの2つだけが意味のある数字で、亜硝酸が何週間も比色表の上限に張りついているのは正常です。正常でないケースは亜硝酸がゼロまで下がらないときで扱っています。
ORP。 健康な水槽の多くは300から400 mVのあいだにあり、1日に30から50 mV漂います。火災報知器のように扱ってください。1週間かけてゆっくり下がるなら何かが腐っているかスキマーの掃除どきで、急落したらいますぐ水槽を見に行く合図です。特定のORPの数字に合わせるために何かを添加したり、オゾンを回したりしてはいけません。
どのパラメータから直すか
目標からどれだけ離れているかではなく、それぞれがどれだけ速く生体を傷めうるかの順です。
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アンモニアと亜硝酸。立ち上げ直後の水槽か、生体が死んだあと。 リーフ水槽のpHでは、アンモニア0.5 ppmですでに魚にストレスがかかっています。水換え、バクテリア剤、給餌の中止、原因の特定。アンモニアがゼロになるまで、ここに挙げたほかの項目には触れる価値がありません。
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水温。 29°C (84°F) の水槽には、来週ではなく今日の午後のうちに、ファンと消灯が必要です。数時間かけて、1時間に1から2度ずつ戻してください。生体にストレスをかけるのは変動そのものだからです。
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塩分濃度。 1日に比重0.001までにします。つまり1.021の水槽が1.026に届くまでには5日かかります。上げるにはRO水の代わりに作った人工海水で足し水をし、下げるには水槽の水をRO水と入れ替えます。どちらも水流のあるサンプに入れてください。200リットル (約50ガロン) の水槽なら、約8リットルをRO水と入れ替えると比重がおよそ0.001下がり、これが1日分です。本水槽に乾いた塩を直接入れるのは厳禁です。
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アルカリニティ。 化学パラメータの中では最初です。サンゴが1日以内に感じ取るからです。上げるのは1日1 dKHまでにして、サンプか水流の強い場所に入れます。混ざる前にサンゴの上に沈むおそれがあるので、本水槽に直接入れてはいけません。高い場合は酸を加えるのではなく、添加を止めて消費に任せて下げます。マグネシウムが1250 ppmを下回っているなら、そちらを先に直してください。マグネシウム不足こそ、アルカリニティが保てない理由だからです。
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カルシウム。 アルカリニティが2、3回の測定で安定してからです。この2つは一緒に消費され、1 dKHにつきカルシウムはおよそ7 ppmなので、その比率で添加すれば両方とも範囲内に収まりやすくなります。2つの製品の関係と添加量の出し方はリーフ用計算ツールで説明しています。
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硝酸塩とリン酸塩。 すでに何週間も範囲外だったのなら、あと数週間そのままでも構いません。上のすべてが安定してから、最後に、レバーをひとつずつ直します。栄養塩の対処法の大半 (炭素源の添加、GFO、大量の水換え) は上の数字も動かすので、栄養塩の対処が実際に何をしたのかを見るために、上の数字は安定させておきたいからです。
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pH。 単独で直すことはほぼありません。アルカリニティが範囲内なら、低いpHは部屋のCO2が原因で、対処法は換気か、スキマーの吸気口に付けるCO2スクラバーです。アルカリニティ源としてkalkwasserを使うと副作用としてpHが上がりますが、ゆっくり滴下するかドーサーで入れる必要があり、一度に流し込んではいけません。まとめて入れるとpHが8.6を超えて跳ね上がり、水槽中に炭酸カルシウムが析出します。
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ORP。 このリストには決して載りません。上にある何かを直せば回復します。
一度に全部直すより、ひとつずつのほうが良い理由
どの補正も、少なくともほかの数字をひとつ動かします。アルカリニティを添加すればpHが1時間上がります。25パーセントの水換えは塩分濃度、水温、アルカリニティ、カルシウム、マグネシウム、栄養塩を同時に動かし、その幅はバケツの中身次第です。これは人工海水の素で水質パラメータは変わるのかで銘柄ごとに見ています。Kalkwasserはアルカリニティ、カルシウム、pHを一度に上げます。
ここで、土曜の朝に3つを一度に直したとしましょう。大量の水換え、2倍のアルカリニティ添加、新しいGFOの袋。日曜にはサンゴが閉じています。1日でアルカリニティが2 dKH動いたせいでしょうか。SPSが嫌う、一晩でリン酸塩が0.15から0.02 ppmに落ちたせいでしょうか。新しい水の塩分濃度が合っていなかったせいでしょうか。わからないので、直しようがありません。まさにこの状況を水換え後にサンゴが開かないで扱っています。
代わりのやり方は退屈ですが、効きます。一番上の項目を直す。水温、塩分濃度、アルカリニティは24時間後、カルシウム、マグネシウム、栄養塩は1週間後に測り直す。数字が2、3回の測定で保たれてから、初めて次に進む。これだけです。
1回ではなく2、3回なのは、ホビー用の試薬キットに誤差があるからです。アルカリニティで約0.1から0.2 dKH、カルシウムで10から20 ppmほどです。昨日より0.3 dKH低い測定値が1回出てもノイズです。3回続けて同じ方向へ向かえば傾向です。測るたびに調整していると、水槽は6から11 dKHのあいだを行き来することになります。
理想は一点ではなく、帯
「リーフタンクの理想的な水質」という言い回しは、少し誤解を招きます。天然海水はおよそ7 dKH、カルシウム420 ppm、マグネシウム1280 ppm、リン酸塩0.01 ppm未満ですが、普通の給餌をしながらその値にぴったり保った水槽は、8.5 dKHでリン酸塩0.05 ppmの水槽より見栄えが悪いのが普通です。水槽は海ではないからです。
海水水槽の水質一覧はどれも端のところで違っていて、それで構いません。上の表が示しているのは、健康なミックスリーフならその中のどこにいてもいい帯です。その中に目標を決め、書き留め、保ってください。1年間毎日8.0 dKHだった水槽は、平均8.5でも7と10のあいだをさまよっていた水槽より多くのサンゴを育てます。帯の中での安定が目標です。
目標値を書き留める
表は一般的な答えです。あなたの水槽には固有の答えがあります。この半年、サンゴが成長してきた組み合わせがそれです。サンゴに教えられる前にパラメータがそこから外れたことに気づく唯一の方法は、自分の目標値と並べて、実際に見返す場所に測定値を記録することです。
そのためにあるのが無料の水質記録スプレッドシートです。Targetsシートに自分の帯を設定し、測定値を入力すれば、セルが自分の数字に対して緑か赤に変わります。上の各行をどれくらいの頻度で測るべきかを決めた測定スケジュールと組み合わせれば、システム全体が揃います。
スプレッドシートを入手
Google Sheets でコピーを作成(Google アカウントが必要です・英語のみ)
Excel 版をダウンロード(アカウント不要)無料、メールアドレスの登録なし、クレジット表記も不要です。測定値は目標範囲の内側なら緑、外側なら赤になり、グラフには目標範囲が破線で描かれます。
11のパラメータを11の目標範囲に対して、それぞれ別々の測定頻度で保ち続けるのは、頭の中やノートで抱えるには多すぎる帳簿仕事です。Recifは、これを引き受けるために私たちが開発したリーフアクアリウム向けアプリです。すべての測定を記録し、各パラメータを自分の目標範囲と重ねてグラフ化し、消費量の傾向を割り出し、測っていない期間が長くなった項目を知らせ、水槽全体をひとつの安定度スコアにまとめるので、どの数字を最初に見るべきかがひと目でわかります。現在 App Store と Google Play で配信中です。